環境コンサルタントとは
環境コンサルタントとは、企業や自治体などから依頼されて環境に関する調査や予測を行ったり、報告書を作成する仕事です。会社によってそれぞれ得意分野があり、調査が得意な会社、分析ばかりする会社、シミュレーションが得意な会社、総合的に何でも行う会社など様々です。一部の業務を他の会社に委託することも多いです。
なぜこのような仕事があるのかというと、事業開発を行う際に環境調査を行い、事業が環境に与える影響を調べないといけないというルールがあるためです。
仕事内容
仕事内容は多岐にわたりますが大まかに以下の仕事があります。
環境調査
環境コンサルと聞かれてまず想像する仕事内容ではないでしょうか。調査の対象はさまざまで、動植物、土壌、水質、大気質、騒音、交通量などです。水質や大気はサンプリングした後、化学分析を行います。
予測
調査結果をもとに事業が環境に与える影響を予測します。高度な計算を行うので、アプリケーションソフトを使うこともあります。
アセス業務
大規模な開発を行う場合、環境に与える影響を調査•報告し、住民に説明しなくてはなりません。そのための報告書の作成や住民説明のための資料を作成します。
年収
年収は会社によって大きく異なりますが、総じて世の中の平均~平均より少し下くらいです。
決して高いわけではありませんが、生活はできるくらいです。
この仕事のメリット
フィールドワークがある
自然に触れながら仕事をすることは、精神的に気分が良いものです。内勤ばかりだと気が滅入ってしまいますが、たまに外勤をすると気分転換になります。
全国各地に行ける
出張が全国にあるため、旅行気分でいろいろな場所に行けます。ご当地の食べ物を楽しめるほか、時間が余れば観光も可能です。出張すれば出張手当も出ます。飛行機を乗る場合はマイルが貯まるので個人的に使うことができます。
様々な技術に触れられる
この仕事は時代の流れに合わせて比較的新しい技術を取り入れようとしているので、新しい技術を学ぶことができます。プログラミング言語を使って、図表を自動作成したり、機械学習を用いた技術開発を行ったりもします。
この仕事のデメリット
環境コンサルの将来性
環境コンサルは公害問題が顕著化するとともに必要になり成長してきた業界です。しかし、今では公害問題もすっかり落ち着いており、仕事は減少傾向にあります。事業開発をすると必ず調査が必要になるので、仕事が完全になくなることはありませんが、昔と比べると少なくなってきています。
また環境コンサルの仕事は、入札によって行われることが多く、仕事が少なくなったことで、同業者間で仕事の奪い合いが生じており、その結果仕事の単価が低下傾向にあります。つまり、たくさん仕事をしても儲かりにくくなってきているということです。
さらに環境コンサルの重要な顧客である自治体も予算も削られているため、さらに仕事は減少傾向にあります。
大規模な開発が増えれば仕事は増えますが、今後のことは誰にも予想ができません。
出張が多すぎる
出張が多く、2週間連続で毎日出張があることもよくあります。普段と異なる環境で眠るため、知らず知らずのうちにどんどんと疲労が蓄積していきます。また環境調査は測定機器を現地に運ぶ必要があるため、車の運転もほぼ必須になります。ペーパードライバーの人には難しいかもしれません。
フィールドワークも気候次第
フィールドワークも気候が良い時期なら気持ちが良いものですが、雨や雪の中で仕事をしなくてはならないこともあります。また、当然ですが外の仕事は夏は暑く、冬は寒いので辛いです。
遭難や猛獣と会う可能性
山での調査は遭難やクマやイノシシなどの猛獣に遭遇するリスクがあります。海や川での調査は潜水すると水難事故に合うリスクがあります。
クマ避けの鈴をつけたり、二人以上での行動を基本としているので、何かあっても協力しながら対応します。
残業時間が長くなりがち
以前と比べると残業時間は減少傾向にありますが、ときに多くなることもあります。これは報告書には納期があるため、納期に間に合わせなければならないためです。多ければ残業時間が60時間を超えることもあります。
また客先から急な仕様変更や納期を早められることもあり、休日も対応せざるを得ないときがあります。
土日や深夜の仕事も
基本的に土日が休みですが、土日も仕事が入ることがあります。例えば住民説明会は土日に行うことが多いです。また、測定項目によっては休日も測る必要があるものもあるので、休日も出勤しなくてはならないこともあります。また、出張で月曜日から現地入りする必要がある場合、日曜日から移動しなくてはなりません。
また9-5時の仕事ばかりではなく、測定項目によっては深夜や早朝に仕事が入ることもあります。ときには交代で夜勤が発生することもあり、体調管理が求められます。
仕事は結構泥臭い
仕事は決して華やかなものばかりではありません。
仕事は法律に則って進めていくので、自治体の法律を細かく調べる必要があります。また、川の中に入って作業したり、虫だらけの草むらに分け入って作業したり、大変なものも多いです。
事業者の意向に沿わないといけない
お客様は事業者なので、事業者の意向に沿った報告書を作成しなければならないことがあります。例えば、ある値を測定したとき環境基準を超えていたとしても、超えた基準を報告する訳にはいかないので、何回か計測しなおす必要があることもあります。
環境を守るために行う仕事なのに、もはややる意味があるのか自問自答するときがあります。
過激な反対住民
住民説明を行うと反対派の人が必ずといっていいほど現れます。
よく考えてください。普通の人は住民説明会なんて面倒でわざわざ行かないですよね。興味がある人か、事業に反対の人が参加することが多いようです。
その反対派の人を刺激しないようになだめる必要があります。
最後に
正直大変なことが多い業界で、環境を守るという綺麗事だけでは難しいところもあると思います。しかし、なくてはならない仕事で、この仕事でしか出来ないこともあります。これを読んでもこの仕事をしたいという人は是非飛び込んで下さい。